インンターナルインピンジメント

インンターナルインピンジメント(後上方インピンジメント)は、肩外転90°+外旋のポジションで、棘上筋や棘下筋が肩後方の関節唇(受け皿)に接触して挟み込まれる事によって生じます。 肩甲骨の後傾が不十分であるとインンターナルインピンジメントの発生率は高まります。

インンターナルインピンジメントが生じている状態で投球動作を繰り返す事で、棘上筋や棘下筋(特に棘下筋)が関節唇との接触による摩擦によって裂け、次第に腱板(棘上筋や棘下筋)の部分損傷を引き起こします。

インンターナルインピンジメントの予防

関節唇との物理的接触を避けるには、常に動作中の関節唇(受け皿)と上腕骨の位置を適合させておく必要があります。その為には、肩甲骨の後傾(内転+外旋+後傾)ポジションの獲得と上腕骨の過度な外旋を防ぐ2つが必要になります。

①投球動作中(レイトコッキング期)における最大外旋時の肩甲骨の内転+外旋+後傾ポジションを獲得する

肩甲骨の内転(肩甲骨を背骨に引き寄せる動き)に対して上腕骨が相対的に過度に水平伸展したり、肩甲骨の後傾に対して上腕骨が過度に外旋すると肩後方で接触が生じます。自由度の高い上腕骨の動きに対応して、肩甲骨が追従する事で、関節唇(受け皿)の向きを適合できれば物理的接触が生じず、インンターナルインピンジメントを防ぐことができます。

小胸筋・前鋸筋の柔軟性低下や、菱形筋・僧帽筋中下部の筋力低下は、肩甲骨の動きを阻害しインンターナルインピンジメントの原因となります。該当する筋肉に対して、ストレッチとトレーニングが必要です。

②上腕骨の過度な外旋を防ぐ

外旋可動域増大の原因としては、後下方関節包の柔軟性低下が考えられます。肩後方のストレッチが必要になります。

また、胸椎後弯による伸展性の低下や、上位肋骨の下方回旋も、肩甲骨の外旋や後傾を阻害する要因となるため、胸郭の柔軟性の獲得も重要です。