肩峰下インピンジメント症候群

野球肩のうちの半分以上はインピンジメント症候群であるといわれ、今回はその中でも最も頻度の高い肩峰下インピンジメント症候群について解説していきます。

まずは、肩の構造について、ご理解していただきたいキーワードが幾つかあります。

肩峰・烏口肩峰靭帯・腱板・上腕骨大結節・肩峰下滑液包

肩峰、烏口突起、両者を繋ぐ烏口肩峰靭帯によって形成される烏口肩峰アーチと、その直下を通過する大結節及び腱板、肩峰下滑液包によって構成される機能的関節を第2肩関節といいます。

第2肩関節の機能的特徴は、烏口肩峰アーチが大結節の上方偏位を抑制すること、腱板を上方から抑えることで骨頭の求心性を高めること、腱板に生じる摩擦を肩峰下滑液包により軽減することです。

肩峰下インピンジメントは、大結節と烏口肩峰アーチとの間におけるインピンジメントです。

肩峰下インピンジメントの要因は、上方支持組織の癒着・後下方支持組織の拘縮・肩甲骨の機能不全などが挙げられます。

 

 

広背筋

広背筋は人体で最も面積が大きい筋肉です。
骨盤と肩甲骨両方に付着部を持ち、腕の骨(上腕骨)に向かって走行しています。

広背筋が硬くなって、柔軟性が低下してしまうと、肩関節拘縮や投球障害肩、腰痛、姿勢不良の原因のひとつになると考えられます。そこで、以下に数種類のストレッチを紹介します。

また、私自身が4週間毎日ストレッチを実践してみて、Before – After を評価してみます。

全てのストレッチは、15秒かけてストレッチしていきます。3〜5セット行います。

現在の私自身の、肩の可動域と姿勢です。

 

野球肩 〜インピンジメント症候群〜

野球肩とは、ボールを投げる動作から投げ終わるまでに起こる肩の痛みの事です。野球以外のスポーツでも、ハンドボール、アメフト、バレーボール、テニス、槍投げ、水泳など、オーバーヘッドスポーツといわれる肩に負担のかかる動作で起こりうる症状です。

特に10〜17歳の成長期に起こりやすく、原因としては投げ過ぎなどの、同じ動作の反復による過負荷が多くの割合を占めます。

一言で野球肩と言っても、痛めた場所や原因によって、様々な診断名があります。
(インピンジメント症候群、滑液包炎、上腕二頭筋長頭腱炎、棘上筋炎、腱板損傷・断裂、SLAP損傷、肩甲上神経麻痺など)

肩は非常に複雑な構造をしており、複合関節と言われいます。色々な病態が絡んで症状が起こっている事も多くあります。なので、正確な診断名を特定することが困難である為、総称して野球肩と呼ばれる事が多いのが現状です。

野球肩の大半は、インピンジメント症候群であるといわれます。インピンジメント症候群も数種類あるので、ご紹介します。

『インピンジメント症候群』とは?
インピンジメントとは、衝突、挟み込み という言葉の意味があります。
肩の動作時に何らかの原因で、骨と骨の衝突や筋肉、軟部組織の挟み込みを起こし障害や痛み引き起こします。
症状は、投球動作などで肩を挙げた時や捻る時に引っ掛かり感や痛みを生じます。

種類は大きく分けて4つ
①肩峰下(けんぽうか)インピンジメント
(subacrominal impingement)
②烏口下(うこうか)インピンジメント
(subcoracoid impingement)
③インンターナルインピンジメント
(internal impingement)
④前上方インピンジメント
( pulley lesion)

インピンジメントの起きる場所で分類すると、

関節の外で起きる
肩峰下インピンジメント
烏口下インピンジメント

関節の内で起きる
インンターナルインピンジメント
前上方インピンジメント

それぞれについては、今後詳細に解説していきます。